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【第13号】

2002/02/25

平成13年度の年度末、予算編成、決算等、何かと慌ただしい時期を迎えた。政治の世界では、強面の役者が先の見えにくい「行政改革」劇を演じている。教育の世界でも、大きな変革の時を控え、中等教育における「教育改革」の脚本づくりは、最終段階を迎えている。そしてまさしく今、その第一幕がきっと落とされようとしている。

演出は文部科学省。「生きる力」の育成、新しい「学習指導要領」の施行、「完全週五日制」、そしてメインとなる「総合的な学習の時間」の導入、さらに「トップ30」、「国立大学の法人化」等々、見せ場は数多く用意されている。

本邦初演とはいえ、そのメインともいえる「総合的な学習の時間」は、その狙い、舞台設定、演じ方が理解され、万全な準備がなされているのだろうか。幕開けが待たれるところだが、初日を迎えても、立ち往生してしまうことになりはしないか。その大きな原因として考えられるのは、各脇役たる教育機関、教職員の受け止め方に大きな隔たりがあるということだが、これは、演出の仕方にも大きな問題があるといわざるを得ない。足並みの乱れすらも演出者の力量、アドリブに委ねる故であるとの言い方はあるのかもしれないが、名脇役が舞台上でそっぽを向いていては、主役である生徒は浮かばれない。

その主役たちは、4年後には、高等教育機関へと舞台を移すことになる。「高大連携」、「円滑な接続」が求められるのも、そうした背景があるからだ。今、高等教育機関は「教育改革」第一幕を見守る観客ではない。主役たちに大学とは何か、社会との接点は何かを具体的に、実体験に近い形で提供することが求められている。

「大学の生の姿」を見せることが、高校生の興味・関心を引きだし、そこから、「学ぶ」ことへの意欲を見出す機会になるとしたら、大学を何を躊躇することがあるだろう。

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