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【第16号】

2002/08/25

雪印、日本ハムと大手食品メーカーの信じがたい背信が続く。利益至上の企業の世界とはいえ、到底世間は納得しない。ものづくりといえば、本来職人の仕事であり、つくることへのこだわり、品質への責任があった。しかしそれも、ただ得か損かという判断基準だけになり、ものつくりの観念・哲学は見失われてしまったかのようだ。

見失うといえば、このほど文部科学省が作成した教師用の参考資料。教科書より進んだ「発展的な学習」内容を教えるポイントなどを示したものだが、新指導要領で削られたものが「復活」しているという。文科省は「ゆとり」を見失ったのか。こうした揺れは、「総合学習の時間」の利用について、未だその内容を明確にしえない高校が多いといわれる中で、現場の戸惑いを増幅することになりはしないか。実施まで、もう秒読み段階である。

これは、『学力』についての基本的な理解が社会にないことによるものと思えてならない。『学力』と『生きる力』との摺り合わせが、できずにいるのが現状だ。『生きる力』は、定着するのだろうか。今、青少年の意識に関する様々な調査結果は、概ね日本の青少年は、将来への展望が希薄であり、今が楽しければそれでいいと考える傾向にあることを示している。依然として、『フリーター』志向も強い。

学力低下への懸念から、今、『総合学習の時間』に対する風当たりは強い。しかし、実際に実践した高校や教員からは、生徒の『やる気』を引き出すことによって、結果としての進学実績の伸びが報告されていることは見逃せない。『やる気』のない『学習』では従来の詰め込みと変わらないし意味がない。そこにこそ、『学力』と『生きる力』がリンクしていると見ることはできないのだろうか。

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