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【第17号】

2002/10/25

日本経済は、相変わらず好転する気配をみせず、政府が進める改革は、空転しているかのようだ。そんななか、明るいニュースが飛び込んできた。ノーベル賞を日本人2人が受賞する。快挙といっていいだろう。今回のお2人は、決してエリートというわけではなく、ひたすら自分の好きな研究を続けてきた結果による受賞と聞く。

秋、いよいよセンター試験をはじめ来年入試の願書受付が開始された。高校生にとっては、具体的な進路を選択する時期がやってこようとしている。誰もが希望の道を歩んでいけることを願わずにはいられない。

しかし最近の高校生は、進学と就職という選択肢の他に、いわゆる『フリーター』という進路を意識している。今では進学、就職と同等の進路となったかのようだ。高卒就職が年々厳しくなる中では、いずれ進学に次ぐ進路となってしまうのだろうか。

最近は、追い打ちをかけるように、経済的な問題から進学を断念する高校生が増加している。就職先がなく、経済的に苦しい生徒の進路は、『フリーター』しかないのだろうか。問題は、進学すること、就職することに意味を見出せず、強い意志を持てないことにある。経済的に苦しくとも、本当に進学したいのであれば、何らかの方法を探そうとしないだろうか。その職業に就くことを望むなら、安易に『フリーター』への道を選ばずに、キャリアアップすることでその職業へたどり着こうとしないだろうか。

大人たちは、まさにその意味を見出すことのできる「夢」を高校生に与える役目がある。彼らがそう思った時に、支えられる仕組みを持ち、その存在を知らせなければならない。ノーベル賞を受賞したお二人を遠い存在として距離を置くのではなく、『好きこそものの上手』という身近な言葉を、『生きる力』に昇華させた手本としてとらえてみてはどうだろうか。

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