【第18号】
2002/12/25
2002年は「『激動の時代』の幕開け」と昨年末に記したが、世の中は、大きな動きを見せた一年だったといえるだろう。教育の世界においては、小・中学校での新しい指導要領の施行、絶対評価の導入、「COE」の選定、国立大学の統合、教育基本法の見直し等々、様々な取り組み、変革が行われた年となった。
しかしその一方で、種々の調査からは、日本の若年層に「無気力」「無関心」が広がっていることを示すデータが報告されている。また、「経済成長0%時代」には、新規雇用は期待できないというが、このほど発表された新規高卒者の内定状況も、過去最低の数字を記録するなど、高校生、高校教育現場を取り巻く状況は、非常に厳しい。殊に高卒就職については、日本社会の構造的な変化からすれば好転することは考えられず、今後も高卒者を対象とした求人の減少は避けられそうにもない。
では、就職先がない高校生はどこへ行くのか。就職を希望する理由は、一人ひとり様々なものが考えられるが、経済的な理由から、進学を断念せざるを得ない高校生が相当数いることは間違いない。さらには、進学を考えずに無業、いわゆるフリーターを志向する高校生も依然として多いという。
今、求められているのは、本当に使える具体的な情報であり、方法である。そして、何より高校生自らが「なぜ進学するのか」「進学するためにはどうしたらいいのか」ということを動機づけできる教育情報の提供である。
日本漢字能力検定協会の「今年の漢字」は「帰」が選ばれたが、高校における進路指導も、いわゆる「進学指導」重視のものから、初心に立ち帰っての「進路指導」、生徒の現状、そして将来を見据えた総合的で、生徒自身のためのものとなることが求められている。