【第19号】
2003/02/25
いっこうに好転の兆しを見せない我が国の経済状況。社会では、『リストラ』『倒産』という言葉すら聞き慣れたものとなってしまった観があるが、高等教育機関である四年制大学が募集を停止し、事実上の廃校に追い込まれるという事態は、予想されていたこととはいえ、ショックな出来事だ。
しかも、こうした事態は、希なケースではなく、昨年、私大の約三割、短大の約五割が定員割れとなっている現状では、社会でいう『倒産』が、教育の世界においても「よくあること」となりかねない。
このほど、文部科学省は『特色ある大学教育支援プログラム』を予算案に組み込んだが、そこには教育に関して「個性」「競争力」を持った大学、短大を応援しますという姿勢が伺える。これは昨年の『COE』の選定と同様、とにかく、それぞれが自分を見つめ直し、「生き残るための自己努力」を怠るなというメッセージとも受け取れる。
今、高校生の進路選択においても「生き残る大学、短大」を選ぶ時代に入ってきたということがいえるのではないだろうか。それは即ち、これまで以上にシビアな進学先の選定が行われることを意味する。高校生一人ひとりが、自分にとって必要なものがある大学、短大を選ぶ時代。その時、高校の進路指導現場のあり方も変わらざるを得ない。高校生の進路志向、置かれた状況が複雑になればなるほど、その対応が難しくなるのは自明の理。そしてそれは、まさしく「生き残り」をかける大学、短大にとっても同様のことであり、「高大連携」が求められる理由でもあろう。