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【第21号】

2003/06/25

今、小泉内閣による「三位一体の改革」が進められている。国と地方の税制改革のことであり、『補助金』『地方交付税』『税源移譲を含む税源配分』をもって三位とした、構造改革の大きな柱と位置づけられているものだ。二〇〇四~〇六年度の期間中に、同時に実施することを目指しているが、国政における「改革」は遅々として進まず、今やその言葉が持つ本来の意味から遠く乖離しているといえなくもない。

「改革」は、一朝一夕になし得るものではないとはいえ、自ずと「変更」や「改正」といった程度のものでもない。その意味で、教育の世界で行われている「改革」は、その認識されている重要性、社会に与える影響において非常に大きいものといえる。

現在進められている「教育改革」における三位といえば、『高等教育』『中等教育』『家庭教育』ということになるだろうか。今まさに、『高等教育』では、国公立大学の法人化、法科大学院を含む大学院の専門化、学部・学科の改組、入試制度の見直し等、『中等教育』における偏差値からの脱却、『総合的な学習の時間』を含む、新しい学習指導要領の施行、完全週休二日制実施等々、大きな動きがあり、『家庭教育』の重要性も、改めて見直されている。

「教育基本法」の見直しは先送りされた格好だが、実は『少子化』『国際化』『情報化』といった大きなうねりへの対応はもとより、『経済状況の悪化』『フリーター増加』といった、より現実的な問題への対応を急がなければならない。実際に、親のリストラで進学費用を捻出できずに進学を断念せざるを得ない生徒がいる、ただ何となくフリーターを選んでしまう生徒がいるといったことなどへの対応は後回し、たらい回しにすべきではない。生徒、学生たちの時間は、決して取り戻せない。

今、様々な調査で、日本の若年層の『無気力』『無関心』が指摘される。確かに大きな問題であり、その原因や背景にあるものを見据えながら、進むべき道、取るべき方法を探さなければならない時にきている。その時、すべきことは、空論ではない今後のビジョンを持ち、現実に即した対応を速やかに行うことではないだろうか。そしてそれは、国がよければ、ある教育機関一つ、誰か一人がよければいいというものでは、何の解決にもならないことはいうまでもない。

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