トップページ > 大学ノート > 【第27号】

前の記事 | 次の記事

【第27号】

2004/06/25

今、道行く先々で、雨に濡れたあじさいの花が満開の時を迎えている。

あじさいは、ユキノシタ科の落葉低木で、わが国の海岸に自生するガクアジサイから日本で改良された園芸品種。おもに観賞用として庭木や鉢植えにされる。半日陰で湿り気のある肥沃土を好み、土壌の酸度によって花の色が変化し、酸性土では青味がかり、アルカリ土では赤味が強くなる。咲き始めから落花まで、花色が変化するので「七変化」とも呼ばれている。

人も一生の間に大きく変わっていく。誕生から幼少期を経て、青年期、壮年期、そして老年期へと変化していく。なかでも大きく変わるのは、高校から大学時代の青年期であろう。その時期にどのような環境にあるかによって、花の咲かせ方に違いが出てくる。栄養たっぷりの肥料が与えられた土壌が必要な時期である。

国際教養大学の中嶋嶺雄学長は本紙インタビューのなかで、「新入生は全員が寮に入り、人生をエンジョイしつつ、短期間で大学における教育の目的の一つである英語力を大幅に伸ばす」と語ってくれた。いわば寮という『土壌』に、性格も国籍も異なるさまざまな人々が集まり刺激しあうことが『肥料』となり、学生は英語と人間関係の両方を学んで、将来大きな『花』を咲かせる下地をつくっていくのだろう。

夏休みを前にして、各大学・短大は、オープンキャンパスで高校生にそれぞれの魅力を伝えようとさまざまな創意工夫を凝らしている。キャンパスに足を運ばせることは、各大学・短大にとってかなり重要なことではあろう。しかし、もっとも大切なのは、高校生が可能性を感じられる魅力を示すことである。各大学・短大は、考えに考え抜いた個性ある『土壌』『肥料』を、ぜひ高校生に見せてほしいものである。

前の記事 | 次の記事