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【第28号】

2004/08/25

「夏季オリンピック・アテネ大会」に釘付けとなり、連日睡眠不足である。今大会には、史上最多二百二か国・地域から約一万六千人の選手・役員が参加。二十八競技三百一種目で、多彩なドラマが繰り広げられている。

なかでも日本人選手の活躍には目を見張るばかりだ。柔道の谷亮子、野村忠宏、競泳男子平泳ぎ・北島康介の金メダルを皮切りに、メダルラッシュが続いた。

その瞬間の感動は言うまでもないが、そこへ至る道のりがさらなる感動を呼ぶ。「田村亮子で金、谷亮子でも金」のテーマで臨んだヤワラちゃんは、足のケガを克服しての二連覇。野村選手は、一年間のブランクを乗り越えての三連覇。「チョー気持ちいい」と叫んだ北島選手は、大会前不調がささやかれてもいた。

道のりが平坦ではなかったからこそ感動は大きい。そして、TVから伝わってくる各選手の家族や出身地域の熱気が物語るように、彼らをサポートしてきたさまざまな人間模様があるゆえの感動でもある。

本紙今号で、スポーツトレーナーとして高名な東海大学の田中誠一教授は、一流選手を育てるには、家庭での教育や地域との関わりが重要だと語っている。また、明治大学・齋藤孝教授は、著書『天才の読み方』で、一つのことを続けるため、集中力を高めるには、感覚を共有する人たちが選手に寄り添い、「自分は一人ではない」という安心感を身につけることが有効だと述べている。それはスポーツに限ったことではない。あらゆる教育に言えることであろう。

『学校基本調査(速報)』によると、平成十六年度大学・短大等の現役進学率は昨年より○・七ポイント上昇し、過去最高の四十五・三%。浪人を含めて約七十万人が進学したことになる。学校数は、大学・短大合わせて千二百十七校となった。

受験生は、それだけの大学・短大のなかから学部・学科を選び、入学後は切磋琢磨するのである。さながら、オリンピック選手のように、二年後・四年後のそれぞれの金メダルをめざして学んでいくのである。願わくは、変革期にある教育に翻弄されることなく、自らの希望や意欲を大きく膨らませ、社会の活力となる能力を開花させていってほしい。そのためにも各教育機関、各家庭においては学生に寄り添い、安心感を与えるサポート体制を充実させていくことが必要である。

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