【第33号】
2005/06/25
あなたの未来は何色ですか――。ニートに詳しい玄田有史東京大学助教授が、あるシンポジウムで投げかけた質問。玄田助教授によると、最も多かった答えは水色で、特に将来に対して希望を持っている人は橙色、希望を持っていない人は灰色と答える傾向にあるという。かつて、「バラ色の人生」といわれた「バラ色」という答えは、年輩の人に多いとか。
色というものを考えたとき、色が人間の心理に与える影響は、意外なほど大きい。暗い色調の部屋に入った途端、それまで気分がよかったのにも関わらず、急に気分が暗くなったりした経験はないだろうか。お化け屋敷はその典型だろう。
色彩心理学という学問があるように、色の持つイメージはさまざまである。状況によって、色のイメージは異なることもあるが、一般的に、水色との答えは空の色から連想する人が多く、快適さや、さわやかさなどのイメージがある。橙色は陽気さや明るさという肯定的なイメージを持ち、反対に灰色は、不安や自信のなさというような負のイメージを持つ。
大学における未来の色は、何色だろうか。先日、山口県にある萩国際大学が民事再生法の申請を行った。この事件を受け、他の大学でも大学再編が加速しそうである。2007年に「大学全入時代」が到来すると騒がれ、大学にとっては、いまが正念場かもしれない。しかし、暗い色ばかりが待ち受けているわけではない。大学は、大学にとっての明るく希望に満ちた色を、真剣に考える時期にきている。
冒頭の質問に対して、「虹色」と答えた人がいた。いろいろな種類の色が含まれていて、すてきな色だからという。良いことも悪いことも肯定できる強さを感じる答えである。明暗さまざまな色が調和をなし、この空に美しい虹を架けてくれることを願わずにはいられない。