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【第35号】

2005/10/25

直感の7割は正しい―。棋士の羽生善治さんの著書「決断力」(角川書店)の言葉だ。十手先を読むプロ棋士なら、直感という言葉が似合わないような気もするが、七冠を達成した人の言葉だけに説得力がある。

あれこれ考えすぎず、なるべくシンプルに物事を考えたいものである。単純であればあるほど、考えやすくなるのは当然のこと。羽生さんは勝負時となる終盤のときほど、「ごちゃごちゃ考えずに、単純に考える」と心がける。プロの棋士といえども複雑な局面になればなるほど、相手を詰ませることが難しくなるそうだ。

ここ数年間で、大学入試も複雑化してきた。入試制度だけでも、一般試験や推薦入試、センター試験入試はわかっても、自己推薦、AO入試、一芸入試などとくると、だんだん線引きが難しくなってくるのではないか。

9月30日、大学新聞社で、AO入試や推薦入試を主なテーマに、大学と高校の先生を対象にした情報交換会を実施した。そこで、高校の先生を悩ませているひとつに、「AO入試と名前が同じであっても、各大学の募集要項の書き方がまちまちで混乱しやすい」ということが挙げられた。

たしかに高校の先生の気持ちもわかる。この会の実施にあたり、資料作成を担当した者からも、募集要項を理解するのに苦しむ大学もあったと聞いた。理想は、簡単に読め、簡単に理解できる募集要項だろう。

これから志望校も決まり、出願の時期に入っていく。そのときに、シンプルな入試制度や募集要項で、「この大学を受験しよう」と、直感で思えるようなものもあってもいいのではないか。

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