【第43号】
2007/02/25
宋の国に猿を飼っていた狙公(そこう)という人がいた。猿に餌を与えるとき、「今日からえさは、どんぐりを朝に三つ、夕方に四つにする」と言った。餌を減らされ猿は怒り出したため、狙公は「それなら朝に四つ、日暮れに三つにしよう」と提案したところ、猿は喜んだという。
その寓話からできた言葉が「朝三暮四(ちょうさんぼし)』である。内容を深く考えないことや、巧みな言葉使いで人をだますことをいう。
だます方が悪い反面、何も考えないでその言葉だけを信じてだまされてしまうのであれば、どっちもどっちだろう。
ねつ造が発覚した「発掘!あるある大事典2」では、視聴者は納豆を食べるだけでダイエットができるとスーパーへ駆け込み、商品棚から納豆がなくなったという珍現象まで引き起こした。冷静に考えれば、食べるだけで、簡単にダイエットができるはずがない。
テレビというメディアの影響力を考えれば、番組制作側も当然問題はある。ただ、視聴者も何も考えずに情報を鵜呑みにすることは危険であろう。
大学案内や広報媒体には、就職率、資格取得の合格率など、華やかな数字や言葉が並ぶ。その一部の情報だけで入学を決めてしまい、不本意な大学生活を送るのはもったいない。情報を発信する側の姿勢はもちろんだが、情報の受け手の能力も問われる時代になってきた。