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【第56号】

2008/11/01

今年のノーベル賞に、3人の日本人が入賞し、日本中が大きく湧いた。そのスポットライトの外で、もう一つのノーベル賞を受賞した日本人がいる▼「イグノーベル賞」と呼ばれるユニークな研究に光を当てる賞が、細胞機能素子分野を研究する中垣俊之・北海道大学准教授に贈られた。「粘菌」というアメーバ様生物が、最短経路で迷路の出口を探し当てる能\\力を持っていることを発表した。単細胞生物の驚異の能\\力を解き明かした▼イグノーベル賞はかつて、「バウリンガル」という犬の言葉の翻訳機の開発が評価され、授賞に至ったことが話題となった▼これまで受賞したものの中には、足裏のにおいを研究したとか、牛のフンからバニラ香料成分を抽出したという研究がある。どれも日本人の研究によるものだ▼イグノーベル賞は、本家のノーベル賞とは性格が違う。風変わりな研究ばかりだが、研究に対する姿勢はどれも大まじめ。少し違った方向に力を注いだだけだ。どれだけ馬鹿げていると世間で言われても、一貫して研究を続けたからこそ、評価する人もいる▼風変わりと呼ばれてこそ、研究者なのかもしれない。あの南部陽一郎氏の研究は、当時革新的なものすぎて、評価されなかったという。それでも、ただひたすら自分の信念を貫いたからこそ、今がある。

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